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幡ヶ谷の銭湯で常連さんとバトル!裸で芽生えた友情

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東京の一人暮らしは最高だ。

突然ですが皆さんは東京の銭湯へ行ったことがありますか?

昨今のサウナブームと共に隠れた注目を集めている東京の銭湯。

数が減ってしまったとは言え、実は東京にはたくさんの銭湯が残っています。

今回はそんな銭湯で繰り広げてしまった常連さんとのささやかなバトルの話。

銭湯の雰囲気や隠れルールも分かるので、息抜きにぜひどうぞ。

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常連さんとの出会い

幕引き。

という言葉が正しいのでしょうか。

銭湯から出るときの話。

入浴の最後、入口からザバァッと桶でお湯を流して、浴場全体を清めてから銭湯をあとにする。

彼のそれは銭湯への感謝のようでもあり、その日一日への感謝ようでもあった。

また亡き人への一日の報告のようでもあった。

それはまるで土俵入りの前に塩を撒く力士のようでした。

今日もその常連さんはやってきました。

銭湯での動作がいつも一緒なので、一体何者なのだろうと思っていました。

ルーティンがいつも決まっていて、最後が先ほどの儀式です。

入口からザバァァァッと桶でお湯を流して浴場を清めてから帰る。

そんな彼が銭湯を去ると、まさに演者が舞台を去った、という雰囲気になります。

いつか知り合いになりたいなぁ、と思いながらいつも銭湯に通っていました。

儀式もですが、彼が毎回決まって座る場所がとてもかっこいいんです。

銭湯の神様が座る場所

彼が座る場所はいつも決まって銭湯から入って一番入口に近い席。

脱衣所のすぐ隣。

だから他のお客さんが出たり入ったりする度に、外の空気が入ってきてちょっと冷えるようなところです。

それに加えて銭湯は自分より奥に座った人の流したお湯が、入口に向かって流れるようにできており、奥に人がいるとその人の流したお湯がかかってしまいます。

他人の流したシャンプーや石鹸の混じったお湯がかかったり、目の前を通っていくっていうのは、わざわざお金を払って銭湯に来たというのに、決して気持ちの良いことではないですよね。

それなのにその常連さんは必ず自分が一番手前の席に座って、自分が流したお湯が他のお客さんの前を通らないようにしているのです。

『銭湯は家の風呂じゃないから、みんなで気を配りあって気持ちよくなれるように過ごすようにするもんだ』

という無言の諭しに圧された瞬間でした。

その常連さんはいつも無表情で淡々と銭湯でのルーティンをこなしています。

何かの作業者のように。

圧されてしまった私はさあどうしようかと考えて、失礼無礼を承知の上で常連さんにささやかなバトルを挑んでみることにしました。

というより、そんなことに気がついてしまったら愚かにも何としてもその場所に座りたくなってしまったのです。

流したお湯が誰にもかからないその場所に。

銭湯の神様が座る場所に。

戦闘in銭湯

バトルはなんの前触れもなく始まります。

合図などありません。

普通の椅子取りゲームならば音楽がありますが、銭湯に流れているのは女将さんセレクトの優雅なクラシックです。

しかも私が勝手に挑んでいるだけなのですから、ルールなどありません。

しかしついにその日が来ました。

ある日銭湯へ向かっていると向こうから見覚えのある姿が。

「じ、常連さんだ….」

万が一先に銭湯に入られてしまったら、彼は確実に一番手前に座り、私は奥に座ることになり敗北を喫します。

常連さんを見つけた瞬間、戸惑いながらも私は猛ダッシュで銭湯へ向かい、のれんをくぐり芳しい蚊取り線香の香りに包まれながら、脱衣所へ入ると光速で服を脱いで裸になり、お気に入りのタオルを腰に巻いて黄色いケロリンの風呂桶とゴム製の緑の椅子を芝の上にキッチリと着地させ、快心のトライ。

一番手前の席を確保。

一人、トライの喜びを噛み締めます。

しかしここは銭湯。

決して大声では喜べません。

壁を隔てればそこは女湯。

男湯から雄叫びが聞こえてきたらただごとではありません。

数分後、息を切らして銭湯に入ってきた常連さん。

憎悪に溢れた視線で私を睨みつけながら、渋々私の奥に座りました。

常連さんの流したお湯が目の前を通りすぎてゆくのを見て、一人謎の勝利の愉悦にひたる私。

一体これは誰のなんの勝利なのか最早分からなくなっていました。

なぜ他人の流したお湯が目の前を通るのを見て喜んでいるのか。

これでは気配りではなくただの変人ではないのか。

常連さんも、いつも自分が座っている席を若造に奪われるとは、なんたる不覚と思ったことでしょう。

終わってから気がつきました。

何と言うことでしょう。

私は自分が常連さんのポジジョンにトライをしたいというエゴを優先させたために、30年の銭湯通い始まって以来最大の屈辱を彼に味合わせてしまったのです。

これでは気配りも何もあったもんじゃありません。

初勝利のその日はとても落ち込んで家に帰りました。

私達はきっと、想像以上だ。

翌日またも道で常連さんと遭遇。

なんという因縁でしょう。

今度は向こうが猛ダッシュ。

私は前日彼を負かしてとても落ち込んでいたので、今日は譲るつもりでずっと歩いていていました。

するとなんと、「て、てめぇ歩いてんじゃねーぞ!」

と言われたのです。

「は?!」

とこれには僕も流石にイラッとして本気ダッシュであっさりトライ。

常連さん2連敗。

その日入浴を済ませて脱衣所で芸術新潮を読みながら体を冷ましていると、目の前に「ポン」と。

一本のポカリスエットが。

なんと常連さん、いきなり僕にポカリスエットを買ってくれたのです。戦闘からの銭湯後、火照った体にポカリスエットがピッタリ。

いや、粋!

銭湯のポカリスエット最高!

惚れるわ!

僕は驚きのあまり言葉が出ませんでした。

読んでいた雑誌を閉じて自販機へ行ってソッコーポカリ返し。

そしてお互い裸で乾杯したのです。

もう超友達です。

幡ヶ谷で初めて出来た友達。

その後常連さんとは何度闘ったか分かりませんが、試合後はポカリで乾杯して近況を話して解散する、というのが私達の新しい銭湯ルーティンになりました。

一度銭湯の女将さんに恐る恐る聞いたことがあります。

「銭湯の座る場所にルールやマナーはありますか?」って。

そしたら女将さんはとても困った顔してこう言いました。

「あら、まぁ、そんなのは全然なくって、お客様のご自由ですよ」

ですって。

参りました。

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